こんにちは、いちすけです。
今回もArmikrog.の背景ストーリーの和訳を載せたいと思います。
前回分はこちらからどうぞ。初回はこちらからです。
Armikrog.本編はこちら。The NeverHoodもやりたいですねえ。
それでは、ささっと続きにいきましょう。
(※本文中の○はメ木几又の漢字を伏せたものです。)
山を打つ
寝袋の中で目が覚めた。
目をうっすらと開けると、ボロックスの顔が見える。彼は目は大きく見開いているが、眠っているようだ。彼はいつも大きな目を開けて寝ている。
寝袋から這いだし、下着、作業着、鉱夫帽を身に着ける。寝汗で胸の部分がびっしょりになっていた。私は夢の中で走っていたような気がする。追いかけられていたのだろうか。思い出せない。
他にも何人かがもぞもぞと動いているようだ。夜間に使用される便器からの悪臭が漂ってくる。息が詰まる。
坑道を歩いて最後の作業場へ向かう。聞こえるのは、自分の足音と、この地獄の最下層に空気を吹き込むパイプのうめき声だけだ。
ざらざらとひびの入った指でピッケルの柄を握りしめる。ヘルメットのライトが私の前方を丸く照らす。歩きながら空いている方の手で壁をかすめ、荒削りの岩を跳ね飛ばしていく。
ここにはおよそ800人の鉱夫がいるが、壁を叩く音はまだ聞こえてこない。今日は私のピッケルが最初だ。私は強力な武器ー山をかじり、切り倒すものーを持って戻ってきた。私は壁を打ち、私の人生は永遠に変わるのだ。
山の心
私のピッケルで前の岩盤が割れ、私は打たれたような衝撃を受けた。私の体ではない。私の存在…魂が打たれたのだ。
私は壁から離れ、自身を安定させるために足で踏みとどまった。私の手は私の胸に向かい、自身の身体をさすった。なんだ、これは? 私の魂は物質ではないので、「そこ」にあるはずはない。
私のライトの光は、岩壁に沿って荒々しい影を落とす。突然、私の視界は紫色の塊で満たされた。岩の隙間に挟まっているのは紫色の毛玉。それに手を伸ばすと、私の指は毛の生えた表面に食い込んでいく。私の拳ぐらいの大きさだ。それは脈動し、鼓動していた。
私はプールに飛び込むように、壁に落ちた。無重力状態。私は振り返る。自分自身を振り返っている。振り返ってみると、私ーツルクーの腕を伸ばし、新しい私を掴む手がある。
ツルクは顔面蒼白だ。彼の、つまりは私の古い体が地面にぐったりと落ちる。彼のヘルメットは床に転がり、壁にぶつかって止まる。ライトが点滅している。
私は山だ。これが山であるということなのだ。私の足はこの星の表面に深く入りこんでいる。上空は広くて深いので、私は大きいとは感じず、小さく感じる。雲が私を包んでいる。彼らは私の肩の上のショールであり、私の頭の周りの花輪なのだ。
私の内側から川が湧き、顔、背中、腕を伝って、指先から谷間の湖に落ちていく。いろいろな種類の岩でできているが、私は死んではいない。私の身体は生命で満たされている。私のお腹の中に、虫、動物、カビ、魚が暮らしているのだ。私に生い茂る緑の種類は計り知れないほど。根と水は共謀して私を引き裂き、私は彼らに地面を与え、別の場所から取り戻す。
私の心には、私に刻まれた一連の採掘通路がある。鉱夫たちは、アリのように表面から穴を掘り、下向きにトンネルを掘り進めている。私は下へ下へと坑道を探している。一体私は何を求めているのだろう?
ディッチ・モンガーズが気になる。洞窟の床に横たわっている人が見える。彼は長い間忘れられていた記憶のようだ。数千年前の何かのビジョン。そして、それが自分の体であることが分かった。しかし、私の名前は何だっただろう?
残りのディッチ・モンガーズのメンバーがやってくる。彼らは働くための道具を携えている。彼らは倒れた体を見つけた。彼らは死んでいるそれを埋葬するだろう。決断が必要だ。私は今のままでいるか、それとも元の私に戻るべきか。
メーヴァ。
その名前を思い出した。私は元の私に戻りたい!
彼女がこの山を訪れることは分かっていても、それが私だとは知らないだろう。彼女を山にして、私と一緒に立つことができたら。共に天にそびえ立ちたい。私たちの根は絡み合い、一緒に嵐に立ち向かうだろう。不滅の体は、永遠に続いていくだろう。
しかし、彼女が来ないなら、私は彼女に会うことはない。私の中で怒りが燃え上がり、プレートの中で溶岩が泡立つのを感じる。ここに留まることがメーヴァに会うことができないということならば、この山を呪うがいい! 私は元の虚弱な身体に戻らなければ! しかし、私の名前は何だったか?
ルクツ?クツル?クルツ?
「誰か、ツルクを見なかったか?」
ツルク!それは私の名前だ!
ディッチ・モンガーズのメンバーがやってくる。彼らは地面に横たわる私の死体を見つけるだろう。私は山の事故で死んだか、または凶悪な誰かに○されたと考えるだろう。彼らは私の体を埋葬し、私はここに閉じ込められてしまう。
どうやって戻ればいい? それは、私がこうなったのと同じ方法であるに違いない。紫色の毛玉だ! それは岩の隙間に入っている。元に戻るためには、元の私がもう一度それに触らなければ。しかし、元の私の身体は横たわり、死んだ状態。元の私は今の私のところに近づく方法がない。私が行かなければ。
私は紫色の毛玉を取り囲む岩盤の弱さに着目した。小さな力をかけ、岩を割ってみる。洞窟の床で岩が砕け、ツルクの体に岩のシャワーが降り注ぐ。その勢いで、紫色の毛玉はツルクのところまで届いた。
私は底から泳ぎ上がってくる。頭が表面に達すると、私は元の身体で座っている状態になった。丁度、残りのディッチ・モンガーズのメンバーが到着した。
ボロックスが駆け寄ってきて声を掛けてくれた。「ツルク!壁がお前に向かって崩れてきたらしい。怪我はないか?」
私は毛玉を指で覆った。上手く頭の中で返事を組み立てられず、頷いた。メンバーは作業を始めた。私は毛玉をヘルメットに隠した。目線を上げると、アボミネートがじっと私を見ていた。
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それでは、今回はこの辺りで。
また来てくださいね。
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